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経営者から見る一流の仕事とは ~銀座のオーダースーツ専門テーラーの話~

こんにちは!代表の渋谷です。
スーツ・靴・ジーンズ・お酒・葉巻が大好物。このブログでは、経営の関することや趣味に関することなど、私が日常の体験から気づいたこと感じたことなどをお伝えしています。

今回のテーマは“一流の仕事とは”

私は経営者としても一個人としても、常に良い人や良い物との出会いを大切にしているのですが、その中でも“一流”と呼ばれている人たちとの出会いは驚きと発見に満ちています

私がオーダーをお願いしているVicktailor(http://www.vicktailor.jp)のテーラー、近藤さんもその一人。世の中には多くのテーラーがいる中で、なぜ近藤さんは一流であり続けるのか?スーツを創るうえで大切にしていることは何か?などスーツの採寸で訪れた際に色々とお話を伺いました。

一流テーラーが経営するオーダースーツ専門店Vicktailorとは

まずは、一流テーラーの近藤さんと、オーダースーツ専門店Vicktailorについて紹介します。

私は近藤さんに仕立てていただいたスーツを仕事での業界のミーティングなどのシーンで着ているのですが、とても素晴らしい仕上がり。そのスーツはもちろんですが、私が今回インタビューを近藤さんにお願いした一番の理由はクライアントと関わる姿勢にあります。

高い技術を持つとクライアントからの要望に対して「それは違います」「それは出来ません」など自分の考えを押し付けてしまいやすいもの。例えば若いビジネスパーソンが初めてオーダースーツを仕立てて貰う時、ただでさえ緊張しているのに、いきなり厳しく言われてしまったらヘコミますよね。

しかし、近藤さんと話していると、自分の価値観を押し付けられていると感じることはまずありません。自分の知識や技術を使っていかにクライアントの要望や理想を叶えるか、それを一番大事にしているということが良く分かります。

ではなぜ、技術的にも人柄的にもこのような一流の仕事ができるのか。近藤さんとお話しした中で特に印象的だった言葉をまとめました。

一流にとって仕事の定義とは

私   :「近藤さんにとって仕事とは何を意味しているのですか?」

近藤さん:「自分と世の中をつなぐこと。人の役に立っているということ」

慎重に丁寧に言葉を大切に選びながら答えてくれました。

「自分から仕事を取るとどうなるのだろうか?」

「仕事って、そんなに憎むものではないと思う。」

私は、激しくウンウンと頷きました。仕事は嫌いだけど趣味には、あの手この手で工夫したり新しい方法を取り入れたりして楽しんでいる人もいる。仕事から趣味に場面変われば積極的になっている話を聞くと、どうやら仕事は嫌いでも創意工夫する考え方は好きなのだなあと考えてしまいます♪

一流になれないのは仕事に飽きるから

私   :「最初は好きで、関心あって仕事を選ぶにも関わらず何が原因でやめていくのでしょうか?」

近藤さん:「飽きるのでしょうね」「あるいはお金が足りなくなってとか」

飽きる・・・・?

私は、まだその時は飽きる一言で詳しい説明もなかったので理解出来ていなかったし気持ちはモヤモヤしていました。

一流は自分の仕事に満足することはない

私   :「どんな時に自分の仕事に満足しますか?」

近藤さん:「満足?ないですよ。したら終わりでしょう?渋谷さんには申し訳ないですが100点というのは無いです。常に課題が見えてきます。」

決して満足せずに、常に理想高く自分を高めていく姿勢にビビッと来ました!多くの経営者、ビジネスパーソンの方にも似たような考えを持った人がいるのではないでしょうか?
自分の理想を持って仕事にこだわっている人だから他人との比較ではなく、理想を突き詰めることができるのだと思います。

近藤さんの言う通り、仕事の質にこだわり続ける限り「これでいい」と満足することは無いのだと思います。

「もし~だったら?もっとより良くなったかな」

「どうしたらもっと喜んでもらえたかな?」

理想を持っているほど、そうイメージするもの。より良くするためには?と新たな可能性を求めて問い続けていことは楽しくもあり、飽きることはありません。

『実力より少し上に目標を設定すると“夢中”になれる。
 逆に、いまの出来る範囲での目標設定を続けると
 “退屈”してやる気をなくしてしまう』

“幸福”や“楽しみ”といった感情を研究する心理学者のチクセントミハイの提唱した“フロー理論”では、そう論じられていました。近藤さんも、実力より少し上の目標(理想)があるから、夢中にスーツに向き合えるのだと思います。

一流の仕事は見えないところに表れる

私   :「仕事=スーツを創るうえで一番大切にしていることを教えてください」

近藤さん:「心を込めること」

シンプルに一言で答えてくれました。よくよく具体的に掘り下げて質問すると次の通りでした。

「最終的に、お客様が袖を通したときに喜んでくれること」

「そして、日常着ていく中で幸せになってくれること」

そのために、技術としてハンドステッチ(縫い目)をきれいにする。表からは見えない、スーツの縫い合わせてある中の部分こそ、きれいにこだわって縫うことが長年着てもらえるスーツになる。一流の仕事は、オーダースーツが出来上がった瞬間はもちろん、年数が経過した時にお客様に喜んで着てもらえる高い質がある。

確かにオーダースーツは10年~20年着ることが出来るし、むしろ新品時よりも10年以上経過してからシワなど自分自身になじんでいるので付き合えば付き合うほど良さが分かる。人間同士の付き合いに似ているのかもしれません。

全ての仕事はお客様のため。一流の仕事=お客様が満足して幸せになる

私   :「色々調べてくるお客様について。マニアな方も多いと思いますので、中には細部にこだわりすぎてテーラーから見るとバランスを欠いたオーダー内容があるときお客様との意見とプロの意見の板挟みになるときはありませんか?」

近藤さん:「(笑)ありますよ~。そんな時はこんな方法もありますよと提案します。でも最終的にお客様が満足するかどうかなので」

オーダースーツの利点は、本当に自由に自分の欲しい世界で1着のオーダースーツができる。デメリットは、お客様のリクエストがスーツとしてのバランス(スーツを創るうえでのルールのようなもの)を保っているかどうかは微妙ということもあり得ます。

そのような時に、プロとしてバランスから判断してお客様を説得したり、説教したりするテーラーもいます。そんな中で、近藤さんのオーダースーツを創る=仕事は、お客様が喜んでくれて幸せになって欲しいという気持ちを大切にしていることに共鳴しました。

仕事するうえで自分達の都合になっていないか?

お客様を置き去りにした発想になっていないか?

お客様の幸せを願ってくれている一流のテーラーである近藤さんにスーツの選び方、創り方を相談したら優しく教えてくれるのだろうなあと納得しました。

一流への仕事への第一歩

私   :「社会人になって一番変わったことを教えてください」

近藤さん:「責任感ですね」

「社会人になったばかりの頃は学校の延長線上だったかな。
独立して店を持って一番変わったと思います」

「行動に一番現れることは掃除ですね。毎朝1時間以上はお店を掃除してます」

何のために掃除に1時間掛けるのだろう?
仕事の始まりに1時間以上掛けて掃除する人はどれ位いるのだろう?
もしかしたら掃除に1時間掛けるのは生産性がないという意見もあるかもしれない。

ただ、利益に直接繋がっているようには見えないかも知れませんが、どの様な効果があるのだろうか?

責任感をより自覚するようになったのは2つの願いからだそうです。

  1. お客様が満足して幸せに感じてくれること
  2. 商売を続けていく必要があること

その自覚が掃除1時間の行動になっているという。
掃除を徹底することで自分のスイッチが入って、アトリエに緊張感ある空気が創れる。

そして、整理整頓することでミスが減り効率的になる。雑然としていると自分の気持ちも頭の中も雑然としているということを教えてくれました。つまり、イチロー選手のように自分自身のスイッチをいれる方法をもっていたのですね。

一流の仕事とそれ以外に分かれる理由『成功するとは、腹を括ること』

何が違うから仕事=こだわりのオーダースーツを創る一流のテーラーとそうでない人に分かれるのだろうか?

インタビューで近藤さんが特に重要だと教えてくれたことは「腹を括る」ということでした。

「何が何でもこれ(スーツ創り)で成功すると覚悟を決めて腹を括れるかどうかが大切」と教えてくれました。

たしかに、明日、未来は何が起こるか完璧に予測は出来ません。だからこそ思い描いたイメージをカラフルで確実に実現する方法は、どれだけ自分を信じて本気になるか。そもそもの目的・理念と行動を一致させること。仕事はお客様に喜んでもらって幸せになって貰うためにあリます。自分の主義主張をお客様に押し付けないこと。そして決して現状に満足することなく理想を高く持ち常に改善し続けることが大切です。

想い通りにならないのは当たり前で、障害を乗り越えた分だけ器も広がり人格も磨かれます。

よく言われていることに、仕事には3種類あると言われています。

  1. ライスワーク(rice work):生活のため・食べるために仕事をする
  2. ライクワーク(like work):好きなことを自分視点中心で仕事にする
  3. ライフワーク(life work):好きでありながら使命・ミッションを持ち仕事をする

近藤さんは、少しでもいいスーツが創りたいからテーラーをしていると言います。この話のなかで再確認できたことは、職種、業界、環境が仕事での創り甲斐、心の充足を与えてくれるわけでない。幸せや可能性は自分の中に存在するのだなぁと再認識するインタビューでした。

自分自身が自分と向き合うこと。

自分を深く理解すること。

そして、環境、仲間、お客様に感謝しながら役に立つこと。

何より自分が自分を信じること、自分自身の仕事に対する質を高め続けること。

命が燃え尽きる最後の瞬間に「ホンマによかった!」と思える生き方をしたいと思います。

オーダースーツを検討する皆さんへ

最後に、Vicktailor近藤さんからのメッセージです。

「オーダーする入口(フルオーダーでなくてもパターンオーダー*でもいい)はどこからでもいいので、スーツを楽しんでみて下さい。

ジャケット、シャツ着てネクタイ締めると気持ちもパリッとするはず。周囲の自分を見る目が以前とは変わったり、違う何かをかんじたりすると思います。
素材も色々あるので案外涼しくできたりします」

*パターンオーダー:サンプルを着て所定の身体各部を採寸して補正出来る。メリットはフルオーダースーツよりも安い。Vicktailorでは良心的に仮縫い付き!

いかがでしょうか。
今回は、銀座の一流のテーラーとしての姿勢をお伝えしました。

スーツはお客様と一緒に創るものです。
見方を変えれば、会社もスタッフと創るものなので似ているかもしれません。

ちなみに、?以下がVicktailor近藤さんの連絡先です?

Vicktailor:vicktailor701@gmail.com

http://www.vicktailor.jp

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この記事を書いた人
渋谷 光弘
Shibuya Mitsuhiro
代表取締役
著者:みっちゃん

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